6月5日に公布された「年金制度改正法」により、年金受給の方法が大きく変わった。いつ年金を受け取り始めるのか、実に15年の間でタイミングを選べるようになる。何も考えずに「65才からもらえばいいや」はナンセンス。それぞれの老後プランに合わせて年金受給をオーダーメードする時代なのだ。老後の安心を手に入れるために、「自分だけの最高のもらい方」を見つけてほしい。
【グラフ】繰り上げ・繰り下げ受給を選択している人は少ない
「年金制度改正法」で変更された年金受給のなかでも目玉は、2022 年4月から適用される「繰り上げ」「繰り下げ」受給の制度改正だ。「年金博士」ことブレイン社会保険労務士法人の北村庄吾さんが解説する。
「繰り上げ受給は、通常の65才より前倒しで年金をもらうこと。早く年金が受け取れる代わりに毎月の受給額が減額されます。ただ、いままでは1か月前倒しするごとに0.5%の減額率だったのが、今回の改正で0.4%減と小さくなり、お得になりました」
一方、「繰り下げ受給」は、65才から「10年間の繰り下げ」が可能になった。
「通常より後ろ倒しでもらう繰り下げ受給は、遅く受け取る分、1か月ごとに0.7%増額される。これまで後ろ倒しにできるのは70才まででしたが、今回の改正で上限が75才まで広がります」(北村さん・以下同)
実際に「繰り上げ」を選択している人は現状で約30%、「繰り下げ」を選択している人に至っては1.5%と少ない(グラフD)。果たして、多くの人のように年金は普通に65才からもらうのが、最良の選択なのだろうか。
「ライフプランは人それぞれで、年金に求めることも千差万別です。65才にこだわる必要はまったくありません。自分に合った受け取り方は何か、この機会に考えてみてください」
繰り下げ受給の上限年齢が広がり、実に15年の間で受給のタイミングを選べるようになる。人によって人生いろいろ、老後もいろいろだ。何も考えず65才からを選ぶのはナンセンスだろう。
◆健康長寿も判断材料の1つ
選択の判断材料の1つになるのが「寿命」だという。
「繰り上げの場合、早くから確実に年金をもらえることがメリット。万が一、早く亡くなっても、それまでにまとまった額を受け取れる可能性が高い。反対に、繰り下げの場合は、長生きするほど受給総額で得しやすい。75才まで繰り下げると、増加量は84%にもなります」
「繰り上げ」「繰り下げ」をした場合、何才まで生きたときに得するのか、損するのか。
国民年金を満額受け取る人が、60才に繰り上げた場合、80才までに寿命がくると得することになる。逆に75才まで繰り下げた場合、86才より長生きできれば、それ以降は得する計算となる。そうした「損益分岐点」を表にまとめたので参照してほしい。
日本人の平均寿命は100年間で約2倍に伸びており、20年後には平均寿命が90才に到達すると予測されている。特に女性は長生きで、将来的に「100才まで生きる確率」は20%近くになるとみられている(表E、グラフF)。
「長生きできる可能性は今後どんどん増えるでしょう。ですが、75才を過ぎると健康なままでいられる人はどうしても少なくなります。我慢して年金を増やしたけど満足に使えないことがあるかもしれません。自立して生活できる『健康寿命』を目安に受け取り方を選ぶ考え方もあります」
https://article.auone.jp/detail/1/3/6/198_6_r_20200725_1595642772346914
続きを読む
Source: 稼げるまとめ速報