閲覧した人のパソコン(PC)端末の処理能力を無断で使って暗号資産(仮想通貨)を採掘(マイニング)するプログラムをウェブサイトに設置したとして、ウェブデザイナーの諸井聖也被告(32)が不正指令電磁的記録保管罪に問われた事件の控訴審判決が7日、東京高裁であった。栃木力裁判長は被告を無罪とした一審・横浜地裁判決を破棄し、罰金10万円の有罪とした。
諸井被告は「とても残念です」と話し、弁護人は上告する方針を明らかにした。
判決で栃木裁判長は、他人のPC端末の処理能力を使って仮想通貨をマイニングするプログラム「Coinhive(コインハイブ)」について「PCの機能が提供されていることを知る機会や実行を拒絶する機会も保障されていない」として、意図に反するものと指摘。また「(閲覧者に)一定の不利益を与えるプログラムと言えるうえ、生じる不利益に関する表示もされておらず、社会的に許容すべき点は見あたらない」とし、ウイルスに当たると認定した。
一審判決については「法律の解釈を誤ったことによる不合理なもの」としたうえで、被告の行為について「自己の利益のためプログラムに対する社会一般の信頼を害する犯行で悪質」と話した。
不正指令電磁的記録保管罪はコンピューターウイルスを「(端末利用者の)意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」などと定義し、保管などを禁じている。公判では被告が閲覧者に告知せず設置したコインハイブがウイルスに該当するかどうかが大きな争点だった。
判決文などによると、諸井被告は17年10~11月、自身のウェブサイト上に閲覧者の許可を得ずにコインハイブを設置したとされる。閲覧者の端末で仮想通貨「モネロ」を無断で採掘させ、被告は報酬としてモネロを得ていた。コインハイブは17年9月~19年3月にかけてインターネット上で提供され、誰でも利用できた。
一審判決はコインハイブについて「閲覧者の意図に反するプログラムに該当する」と認定。一方、▽採掘はウェブサイトの質向上のための資金源になり閲覧者にも利益がある▽採掘による消費電力の増加や処理速度の低下などの影響は軽微だった、といった理由から不正なウイルスとするには「合理的な疑いが残る」とし、被告に無罪判決を言い渡した。
また一審の判決理由では、捜査当局に対し「事前の注意喚起や警告などもない中でいきなり責任を問うのは行き過ぎの感を免れない」と指摘していた。これに対し、栃木裁判長は「(ウイルスかどうかは)その機能を中心に考えるべきであり、捜査当局の注意喚起の有無によって不正性が左右されない」とした。
控訴審で検察側はコインハイブについて「(閲覧者の)意図に反する動作を指令しており、PCの使用権や管理権が侵害されている」としてウイルスに当たると改めて主張。被告側は「不正なウイルスには当たらない」と訴えていた。
被告は神奈川県警に摘発され、18年3月に横浜簡裁から罰金10万円の略式命令を受けたが、無罪を主張して正式裁判に移行していた。
警察庁によると、他人の端末を使ったマイニングを巡り、18年に全国で計21人を不正指令電磁的記録保管などの疑いで摘発した。同庁はホームページで「マイニングツールを設置していることを閲覧者に対して明示せずに設置した場合、犯罪になる可能性がある」と警告している。
2020年2月7日 15:48 更新
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO55368280X00C20A2CE0000?s=4
引用元:http://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1581082417/
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Source: 仮想通貨まとめnews