https://www.bbc.com/japanese/articles/cm2j1rz0lndo
第2言語で面白いことを言うのは、どれほど難しいのだろう? 日本のコメディアン、渡辺直美さん(37)がそれを確かめようとしている。渡辺さんはこの日、米ニューヨークの観客の前でステージに立った。
私たちはマンハッタンのグラマシー・シアターにいた。渡辺さんはここで、英語で初のスタンダップコメディー・ショーを、満員の観客に披露した。
「渡辺さんは私を含め、多くの若者にインスピレーションを与えています」と、外に並んでいた若い女性は言う。「彼女は実際に世界を変えています」。
(中略)
また、渡辺さんのボディー・ポジティブ(ありのままの身体を受け入れること)な姿勢は、やせることへのプレッシャーが強い日本で、大勢にとって活力となっている。
https://ichef.bbci.co.uk/ace/ws/800/cpsprodpb/4654/live/c06d0250-f56b-11ef-896e-d7e7fb1719a4.jpg
しかし、渡辺さんはそれだけでは満足しなかった。世界の舞台を目指して3年前、ニューヨークに移住した。
「最初はとても大変でした。東京とニューヨークは全然違いますから。ネズミがたくさんいるんです」。英語でインタビューに応じた渡辺さんは、こう言って笑った。
「ここではみんなとてもタフです。一生懸命働いて、お金を稼いで、とてもアグレッシブ。でも、そこが好きです」
台湾出身のシングルマザーに育てられた渡辺さんは、幼い頃からコメディアンになりたいと思っていた。一人っ子だった渡辺さんは、アメリカのテレビ番組を何時間も見て過ごした。
「独りぼっちでしたが、テレビ番組やコメディアンが私の家族でした。そして、コメディが大好きだと決めました。それで、学校でもいつもジョークを言っていました」
(中略)
渡辺さんの魅力は、日本の厳格な美の基準に反抗していることにもある。
「日本の女の子はやせていて小柄だと思われがちですが、私はやせていないし、小柄でもありません」
「私に向かって、『太っているからスカートをはくな、腕を見せるな』と言う人もいます」
2021年には、東京オリンピック(五輪)のクリエイティブディレクターに任命されていた佐々木宏氏が、開会式で渡辺さんに「オリンピッグ」というブタの格好をする提案をしていたことが発覚し、全国的な議論が巻き起こった。
これに対し渡辺さんは、「私自身はこの体型で幸せです」と断固とした声明を発表した。佐々木氏は後に、「大変な侮辱だった」として発言を謝罪し、ディレクターを辞任した。
佐々木氏の発言は、やせていることが日本で重視される風潮を反映していた。
厚生労働省の2019年調査によると、20~29歳の女性の5人に1人が、BMI(ボディマス指数)18.5未満のやせ型と分類されている。
日本は、先進国の中で唯一、このようにやせ型の女性が多い国だ。2024年に英医学誌ランセットが発表した世界的な体重傾向に関する研究によると、日本と同水準なのは東ティモール、ブルンジ、エリトリア、ニジェールといった、世界で最も貧しい国々だった。
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Source: 芸能人の気になる噂