仮想通貨の価格は、常に目まぐるしく変動し、その度合いは通貨によって異なるものだ。しかし、最も人気の2つの仮想通貨に関しては今後数カ月、価格ボラティリティにあまり違いがなくなる可能性を、重要な指標が示唆している。
仮想通貨デリバティブ研究企業スキュー(Skew)によれば、イーサ(ETH)とビットコイン(BTC)間の相対的ボラティリティの見込みを測る、同2通貨の3カ月アット・ザ・マネー・インプライド・ボラティリティ間のスプレッドは2020年4月3日(現地時間)、8.9%まで減少した。これは、2019年12月5日以来最低の水準である。
インプライド・ボラティリティとは、特定の期間に資産がどれほどリスクがあるか、変動するかに関する市場の見込みを示すものである。オプションと原資産の価格や、満期日までの時間といった要素を用いて計算される。
このスプレッドが狭まることは、仮想通貨の命運が、通貨間で以前よりも相互に強く結び付いていることを示唆する。しかし、それらをつなげている原動力は、コロナウイルスのパンデミックの経済的影響による、従来型金融市場における混乱の可能性もある。
「市場はマクロに駆り立てられて動くもので、異なる通貨間の大きな『分散』を見込むのではなく、イーサとビットコインの価格ボラティリティの収束を見込む」と、スキューのCEO、エマニュエル・ゴー(Emmanuel Goh)氏は語った。
ボラティリティとはつまり不確実性を示すものであり、オプション価格には好影響をもたらす。不確実性が高ければ高いほど、コール(強気の賭け)とプット(弱気の賭け)両方のオプションに対するヘッジ需要がより高まる。
しかしインプライド・ボラティリティは、次なる動きの方向性については何も語らない。インプライド・ボラティリティの高さは単に、原資産がどちらかの方向への大幅な価格変動の可能性を持っていることを意味するのだ。
イーサとビットコインのインプライド・ボラティリティ差異は2月22日に史上最高の33%を記録し、それ以来減少を続けている。
「オプション・インプライド・ボラティリティは、オプションに対する純買い圧力とヒストリカル・ボラティリティに左右される」と、仮想通貨デリバティブ取引所デリビット(Deribit)の最高執行責任者、ルック・ストリジャーズ(Lukk Strijers)氏は述べた。
コロナの前後で変化。マクロが市場に影響
イーサや他の仮想通貨は2月、ビットコインよりも実績が良かった。ビットコインの支配率、つまり仮想通貨の時価総額合計に占める割合は2月24日、7カ月ぶりの低水準となる62.58%まで減少した。
そのため、2月に市場が、ビットコインと比べてイーサにより高い価格ボラティリティを見込んでいたのは驚きではない。
「イーサに対する投資家の関心の高まりが、イーサ・ビットコイン間のインプライド・ボラティリティ・スプレッドの上昇につながった」とストリジャーズ氏は述べた。
マクロ要素が焦点となり、アルトコインから、少なくとも支持者によれば世界的変動からの安全な避難先資産であり、仮想通貨市場の指標となっているビットコインへと関心が逸れる中、3月に状況は変化した。
しかし、コロナウイルスが引き起こした金融市場における不確実性の中で、現金、主に米ドルに対する需要が急増する中、ビットコインは値上がりするのではなく、株式と並んで大幅に値下がりした。
ビットコイン価格は3月12日、40%近く暴落したのである。
「大幅な値下がりが、イーサのインプライド・ボラティリティに対するビットコインのインプライド・ボラティリティの比較的大きな増加へとつながり、スプレッドが狭まった」とストリジャーズ氏はCoinDeskに述べた。
このように、イーサ・ビットコイン間のインプライド・ボラティリティの差が数カ月ぶりの低水準へ減少したことは、マクロに影響される市場を示唆しているのだ。
ビットコインの半減期とマクロの不確実性
イーサ・ビットコイン間のインプライド・ボラティリティ・スプレッドが示唆するように、ビットコインがこの先3カ月にわたって高いボラティリティに直面する別の理由は、5月に見込まれている次なるマイニング報酬の半減期だ。
50%の供給量削減がビットコイン価格にもたらす影響については、多くが語られている。大半の専門家は、供給の拡大ペースが落ちることは、価格にとって好ましいと考えている。その結果として、ビットコインに対する投資家の関心はイーサに比べて高いままとなるだろう。
さらに、コロナウイルスのパンデミックは衰えるサインを見せず、世界経済を長引く不況へと押しやる恐れがある。マクロの不確実性も、ビットコインへの注目を維持することとなる
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/49684/
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Source: Ripple(リップル)仮想通貨情報局