- BCAリサーチによると、中国の直近の景気刺激策は2015年のサイクルと比較して楽観的に見える。
- 住宅市場の崩壊により、中国が強気な「クレジットインパルス」を生み出す能力が制限されている。
- クレジットインパルスは2008年に25%でピークを迎えて以来、構造的な下降トレンドにある。
中国は最近、2008年以来で最大規模の景気刺激策を多数発表し、中国株やビットコインなど世界のリスク資産の上昇に火をつけた。暗号資産(仮想通貨)アナリストの大部分は、中国の景気刺激策と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げにより、今後数カ月でビットコイン(BTC)が10万ドル(約1450万円、1ドル145円換算)に到達すると予想している。
しかし、BCAリサーチ(BCA Research)は、中国の直近の景気刺激策が過去20年間、特に2015年にそうだったような大規模な強気の「クレジットインパルス」を生み出すには不十分であるため、このリスクオンの上昇は持続しない可能性があると主張している。
クレジットインパルスとは、ローンやその他の債務商品を通じて発行される新規のクレジットの流れを国内総生産(GDP)に対する割合で表すもの。2008年の金融危機以降、アナリストらは世界的な経済成長とリスクオンの上昇の先行指標として、中国のクレジットインパルスを注視してきた。クレジットインパルスが新たに上昇を始めたタイミングは、歴史的にビットコインの弱気市場の底と一致している。
前回は2015年の大規模な強気のサイクルの時、クレジットインパルスはGDPの15%に相当する15兆5000億元(約310兆円、1元20円換算)でピークを迎えた。当時、CSI300指数に代表される中国株式市場は6カ月で2倍以上に上昇。ビットコインは100ドル近辺で底を打ってから2年間の強気相場に転じ、2017年12月には2万ドル近くでピークを迎えた。
それ以来、中国経済は名目GDPで2倍に成長しており、今回のサイクルで経済と市場に同様の強気の影響を与えるには、クレジットインパルスのピークは27兆元(約540兆円)となる必要がある。
しかし、最近のクレジットインパルスのピークは5兆元未満だった。BCAリサーチは10月2日の顧客向け資料で、2015年に起きたことと同程度になるには、最新の措置には「直近のピークの5倍の規模が必要になる」と述べた。
住宅市場ブームなど、当初クレジットインパルスを押し上げた要因が現在は存在しないため、クレジットインパルスの下降トレンドを逆転させるのは「言うは易し行うは難し」かもしれない。
BCAのアナリストらは、「2000年から2020年にかけて中国の住宅ブームが全盛期だった頃は、指数関数的なクレジット曲線を住宅建設ブームに向けることが可能だった。しかし今では、同じ規模のクレジットを生産的に使用するための代替先がないため、同じような巨大なクレジットインパルスを生み出すのは難しくなるだろう」と述べた。
参考資料:https://www.coindeskjapan.com/255065/
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Source: Ripple(リップル)仮想通貨情報局