UniswapがEtherDeltaから引き継いだ教訓
2020年の分散型金融(DeFi)人気の中で、2018年末に登場したユニスワップ(Uniswap)が人気を博しています。Uniswapはイーサリアム(ETH:Ethereum)ベースの分散型プロトコルで、ERC-20トークンに基づいた取引を可能にし流動性を提供します。最近では24時間の取引総額が250万ドル(約2億7,500万円)を超え、流動性マイニングのために23億3,000万ドル(約2,563億円)のロックアップがされています。
現在の様子から2017年の強気市場を思い返すと、イーサデルタ(EtherDelta)の存在が思い出されます。EtherDeltaは1990年代後期のユーザーインターフェースを思わせる分散型取引所でしたが、EtherDeltaの創始者であるザカリー・コバーン(Zachary Coburn)氏は、2018年に未認可取引所運営の疑いでSEC(アメリカ証券取引委員会)により起訴されています。
EtherDeltaはユーザーはイーサリアムのコントラクトアドレスを登録することで、不特定多数の相手と取引ができるという当時としては画期的な仕組みを有していました。EtherDeltaのメリットは、ユーザーがオーダーブック上で買値と売値の指値注文ができたことです。このシステムであれば、現在Uniswap上で起きている、売買ボットによる多額のスリッページを回避できました。
またEtherDeltaではオーダーブックに頼らず、より洗練された取引戦略が可能でした。その反面、なりすましや仮装取引などの問題も引き起こし、最終的にコバーン氏はEterDeltaを他団体に非公開価格で売り、EterDeltaは終焉を迎えました。
Uniswapの問題点
Uniswapでは売買ボットが自動的に取引を成立させることから、多額のスリッページと注文エラーが起きています。この問題はイーサリアムの手数料増加を引き起こす要因のひとつでもあります。イーサリアムのファンは、2020年中に行われる2.0へのアップグレードが、スケーラビリティと高額な手数料問題を解決することを待ち望んでいますが、アップグレードがいつ行われるかは不透明なままです。
現在のUniswapは、5,000ドル(約55万円)以下の資産しかない個人投資家には不向きになっています。手数料がトランザクション当たり5~25ドル(約550~2,750円)の幅で変動するようになっており、高頻度で取引すると所持金はあっという間になくなってしまうことから、資産を動かさない投資家が増えています。
明確なオーダーブックが欠如しているため、ユーザーは取引が完了したのかも不明瞭であり、取引を制御することもできないままになっています。
登場が待たれるUniswap V3
Uniswapの開発者たちは、現在の問題について充分認識しています。その一人であるハイデン・アダムス(Hyden Adams)氏はTwitterで、Uniswap V3の計画はまだ開発途上であり、他にもスリッページを解消して資産効率を改善する計画もあると述べています。またレイヤー2実装の可能性を議論する一方で、スリッページ解消が今後最優先の課題だとも述べています。
2020年の内にUniswapには前向きな進展が見られるはずですが、投資家はより高性能なプラットフォームの登場を少なくとも2021年まで待たなければならないでしょう。アダムス氏は2019年末から、V2の100倍も高性能なV3の開発を目指していますが、オーダーブックの実装が今後のアップグレードに含まれるかどうかは明らかにしていません。
参考資料:https://coinchoice.net/uniswap-exceed-etherdelta/
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