具体的には「ビットコイン2.0プロジェクト」の一環で提供されている「カラードコイン」の仕組みを応用している。カラードコインは株券や金などの資産情報をビットコインのブロックチェーンに書き込めるよう改良を加えたもので、近鉄グループホールディングスのように一般企業でも独自通貨を発行・運用可能になる。カラードコイン機能の開発は実験に協力している三菱総合研究所が手掛けた。「コインにプレミアムを上乗せするなど、近鉄ハルカスコインならではの独自の付加機能を追加している」(三菱総合研究所の奥村拓史主席研究員)。
実は地方創生について長年研究を重ねてきた三菱総合研究所にとっても、今回の実験は特別な意味を帯びている。「2000年ごろから地域通貨を発行するブームが幾度となく起きたが、技術面のハードルから社会に浸透するに至らなかった」と奥村主席研究員。ブロックチェーン技術の登場で、大規模で処理が高速で、かつ簡単に使える地域通貨がようやく発行可能になったのは感慨深いと話す。
実験で近鉄グループホールディングスと三菱総合研究所が浮き彫りにしたいのは、一つは世代や性別による購買行動の違いや過去の買い物と比べた変化だ。一人ひとりをデータで追う必要があることから、近鉄グループのポイントカード「KIPS」に登録済みの会員から実験参加者を募集している。ウェブサイトで申し込みをした約1万人のなかから、年齢や性別をバランスよく分散させ5000人を選んだ。
参加者には現金5000円に対して、近鉄ハルカスコインを1万コイン付与する。1コインは1円相当なので、5000円分の“プレミアム”を上乗せした。大盤振る舞いした理由は、実験協力費の意味合いに加えて、例えば普段生活雑貨した買わない顧客が他の商品をどう合せ買いするかなど、購買行動の変化も浮き彫りにしたかったためだ。独自発行する通貨だからこそ自由にコインを上乗せなどできるわけで、そのメリットを探りたいのだという。



